銀座 ナチュールワインとは何か——4億年の生命が宿る一杯

銀座でナチュールワインを愉しむという行為は、単なる飲酒体験を超えた、約4億年にわたる生命の物語に触れる時間でもあります。被子植物と昆虫の共進化——花が虫のために色をまとい、虫が花粉を運ぶことで植物が世界へ広がったこの古代の約束は、現代のブドウ栽培の根幹を支えています。土壌の微生物、畑を訪れる昆虫、果皮に宿る野生酵母。これらすべての生態系がボトルに封じ込められたものが、ナチュールワインです。銀座という洗練の街で、原初の生命循環に思いを馳せる——ETHICAは、中南米イノベーティブ料理とナチュールワインを通じて、その世界観を皿とグラスに描き出しています。

ナチュールワインを定義する要素は大きく三つあります。第一に、有機栽培あるいはビオディナミ農法で育てられたブドウを用いること。第二に、培養酵母を加えず、果皮に自然に付着した野生酵母で発酵させること。第三に、酸化防止剤である亜硫酸塩(SO₂)の添加を極力抑える、あるいはまったく加えないこと。一般的なワインが安定した品質を目指して工業的な工程を経るのに対し、ナチュールワインは介入を最小限に留め、土地そのものをグラスに映し出します。フランスではVin Méthode Nature認証が2020年に制定され、定義の明文化が進んでいます。

思想の源流は1960年代フランス・ボージョレに遡ります。化学醸造に異を唱えた研究者ジュール・ショーヴェの哲学は、マルセル・ラピエールら造り手たちに受け継がれ、世界的なナチュール革命へと発展しました。近年ではチリ、アルゼンチン、そしてペルーといった中南米諸国でも、土着品種と高地のテロワールを活かした新世代の自然派造り手が台頭しています。松苗シェフが在籍した東京のミシュラン二つ星レストラン「MAZ」で培われた、中南米の食材と自然との対話を重んじる料理哲学は、こうしたナチュールワインと驚くほど親和性が高いのです。アンデスの香草、アマゾンの果実、太平洋の魚介——これらが野生酵母の複雑な味わいと響き合う瞬間は、まさに共進化の現代版といえるでしょう。

ETHICAは、銀座一丁目駅3番出口から徒歩30秒、有楽町駅から徒歩2分という好立地に位置する完全予約制の隠れ家です。全16席(カウンターと個室)という親密な空間で、ソムリエから一杯ごとの造り手の物語を聞きながら、ペアリングという対話を愉しんでいただけます。ベジタリアン・ヴィーガン対応も可能ですので、食のスタイルを問わずお寛ぎいただけます。ご予約は毎月1日に翌月分の受付を開始しておりますので、4億年の生命の物語が宿る一夜を、ぜひETHICAで体験してみてください。